📖 物語
「まひろちゃん、今日からバレエ教室に通うんだね。楽しみだね」
お母さんがやさしく声をかけると、まひろちゃんはうなずきながらも、ドキドキする気持ちを隠せませんでした。
「でも、みんな上手かったらどうしよう。わたし、失敗したらどうしよう…」
まひろちゃんは新しいことを始めるのが大好きでした。でも、いつも最初はこわくなってしまうのです。お絵かきも、水泳も、ピアノも、すべて最初は緊張でいっぱいでした。
その夜、まひろちゃんはなかなか眠れませんでした。明日からのバレエ教室のことを考えると、胸がどきどきして、頭の中がいろんな心配でいっぱいになります。
「やっぱり行かないほうがいいかな…」
窓の外を見ると、夜空にはたくさんの星が輝いていました。ひときわ明るく光る星に向かって、まひろちゃんはつぶやきました。
「わたし、新しいことを始めるの、いつもこわいの」
すると不思議なことに、その星がまるでウインクしたように、ぴかっと光ったのです。
「えっ?」
まひろちゃんが驚いていると、今度は別の星も光り、まるで星空全体が踊り始めたようでした。
「まひろちゃん、だいじょうぶだよ」
ふわりと優しい声が聞こえてきました。星たちが話しかけてくるのです。
「わたしたち星は、毎晩ここから見ているんだよ。まひろちゃんが新しいお絵かき教室で、はじめて自分の絵を見せたとき。上手にできなくて泣きたい気持ちを我慢したね」
「水泳教室ではじめて顔をつけるのがこわくて、でも最後には潜れるようになったね」
「ピアノの発表会で間違えたけど、最後まで弾ききったね」
星たちは、まひろちゃんの小さな勇気の瞬間をすべて見ていたのです。
「新しいことをはじめるのは、みんなドキドキするんだよ。でも、まひろちゃんはいつも最後まであきらめないところがすごいんだ」
星たちは、まひろちゃんの勇気ある一歩一歩に、キラキラと光って拍手を送ってくれました。
「明日も、わたしたちは空から見守っているからね。だから、思いっきり挑戦してごらん」
まひろちゃんは、星たちの言葉に胸がじんわりあたたかくなりました。たしかに、新しいことはいつも最初はこわいけれど、やってみると楽しいことばかりだったのです。
翌朝、まひろちゃんはいつもより早く起きました。バレエのレオタードを着て、髪を整えると、鏡の前でくるっと回ってみました。
「よーし、やってみよう!」
バレエ教室に着くと、やっぱり緊張でどきどきしましたが、空を見上げると、朝なのに一つだけ星が残っていて、ぴかっと光りました。
「見ていてくれるんだね」
まひろちゃんは深呼吸して、教室のドアを開けました。先生も、ほかの子たちも、みんな優しく迎えてくれました。
その日の夜、まひろちゃんは星たちに報告しました。
「今日、バレエのファーストポジションができたよ!先生がほめてくれたの!」
星たちはまた、きらきらと輝いて喜んでくれました。
これからも新しいことに挑戦するたび、きっと緊張することがあるでしょう。でも、まひろちゃんはもう知っています。自分の小さな勇気の一歩一歩を、星たちがいつも見守り、応援してくれていることを。
空を見上げると、星たちがまたキラキラと輝き、まひろちゃんの夢を優しく照らしていました。