📖 物語
雨上がりの水曜日、いおりちゃんはお母さんに「庭に出てもいい?」とたずねました。
「いいわよ。でも、長靴をはいていくのよ」とお母さんは言いました。
いおりちゃんは赤い長靴をはいて、そっと庭に出ました。雨はもう降っていませんでしたが、すべてのものがまだ水滴をたくさんつけていました。
「わあ、しずかだな」といおりちゃんはつぶやきました。いつもは聞こえない小さな音が、今日は特別に聞こえるようでした。
最初に見つけたのは、アサガオの葉っぱについた大きな雨つぶでした。それはまるで小さなガラス玉のように丸くて、中には空の青さが映っていました。
「こんにちは、雨つぶさん」いおりちゃんが指で軽く触れると、雨つぶはころころと葉っぱの上を転がり、最後に地面に落ちました。
「またね」と手を振ります。
庭の奥に行くと、小さな水たまりがありました。その中には何かが映っています。
「あれ?」いおりちゃんが顔をのぞき込むと、そこには空と自分の顔が映っていました。でも、よく見ると水たまりの中で小さな虹が光っているようでした。
「きれい!」
次に、いおりちゃんはチューリップを見つけました。雨の後で、花びらがいつもより鮮やかに見えます。赤や黄色、ピンク色の花たちが、雨粒をきらきらとはじいていました。
「みんな、おはよう」と、いおりちゃんは花たちに話しかけました。
そのとき、小さなてんとう虫が花の茎を登っているのが見えました。
「あ、てんとう虫さんだ。どこに行くの?」
てんとう虫は黒い点々のある赤い羽を広げると、ふわりと飛んでいきました。いおりちゃんは指先でそっと手を振りました。
庭の隅では、クモの巣に雨粒がついて、まるで小さな宝石のネックレスのようでした。朝日に当たると、それぞれの雨粒が七色に輝いています。
「こんなにきれいなものを、みんなにも見せたいな」と思いました。
いおりちゃんは庭で見つけた色とりどりの花を数えました。赤いバラが3つ、黄色いタンポポが7つ、青いアジサイが2つ。全部で何個あるのかな?と楽しく数えながら、心の中に虹色の世界が広がりました。
家に戻ると、お母さんが温かいココアを用意してくれていました。
「庭はどうだった?」とお母さんが聞きました。
「すごくきれいだったよ!雨上がりの庭は、まるで魔法の国みたい!」
いおりちゃんは目を輝かせながら答えました。
「明日、ともだちのゆいちゃんとみくちゃんを誘って、また庭に来たいな。みんなでこの魔法の国を探検したいな」
「いいわね。みんなで見ると、もっと楽しいものね」
その夜、いおりちゃんはベッドに入りながら、明日友達と一緒に庭で遊ぶことを考えていました。
「明日は、みんなにも水たまりの虹と、宝石みたいな雨つぶを見せてあげよう」
そう思いながら、いおりちゃんは静かな雨音を聞きながら、幸せな気持ちで眠りにつきました。